筋トレ科学:スクワットでケツを鍛えるなら高重量


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今日のテーマはスクワットの重量と効き方です。

スクワットはトレーニングの王様と呼ばれますが、その大きな理由にいろんな筋肉を同時に鍛えられるという特徴があります。

その中でも特に大きな負荷がかかるのがヒザと股関節です。言い換えると、スクワットで特に強く刺激されるのは、大臀筋のような股関節を伸ばす筋肉と、大腿四頭筋だということです。

今回の研究は、スクワットでは大腿四頭筋と股関節伸筋群の負荷に違いがあるのかが調べられました。

実験では、しっかりトレーニング経験のある参加者に1RMの90%〜102%の重量でスクワットを行ってもらいました。そして、しゃがみ込んで立ち上がるまでの動作の中で、どの程度強い力を出しているかが測定されました。

つまり、全力の90%から102%まで重量を増やすと筋肉の働き方に変化があるかを調べたということです。

そして、結果は以下のようになりました。

グラフが読みにくいかもしれないので、もう少し説明します。

この実験では、ボトム位置から立ち上がるまでの4箇所で測定が行われました。

① 立ち上がり始め
② スティッキングポイントの直前
③ スティッキングポイントのキツい部分
④ スティッキングポイントを抜けたところ

スティッキングポイントとはスクワットの中で一番キツいところです。まじめにスクワットをやったことのある人なら、おそらくみなさん分かるでしょう。

そして、ヒザと股関節まわりでどの程度の力が出ていたかを比べると、おもしろい違いが見えてきました。

ヒザまわりは90%から102%に重量が大きくなっても筋肉が出す力に違いはありませんでした。

それに対して、股関節まわりでは重量が大きくなると筋肉の出す力も大きくなったのです。

つまり、ヒザまわりは90%でもすでに目いっぱい働いていて、102%では重量が大きくなった分の負荷を股関節の力で挙げていたということです。

筋トレで効果をあげるには強い力を出すことが特に重要です。今回の結果から読み取れることとして、まずスクワットでは比較的軽い重量でもヒザを伸ばす大腿四頭筋がしっかり働いていると言えそうです。そして、股関節まわりの筋肉を強く刺激するには高重量が有効になりそうだと考えられます。

ヒザと比べて股関節まわりにはやや余力があったので、同じ重量なら限界近くまで追い込んだり、他に股関節のアイソレーション種目を足したりするとしっかり刺激しやすくなるかもしれません。

みなさんはご自身のスクワットの感覚を振り返ってみて、思い当たる感じがあるでしょうか?

AthleteBodyのパーソナルコーチングでは、こういった研究結果を踏まえて、個人の目標に合わせたプログラムを提供しています。いま数名コーチングに空きがあります。ご興味のある方はご相談ください。

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