筋トレ科学:植物性たんぱく質のススメ


こんにちは、AthleteBodyの八百です!

毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。

今日は植物性のたんぱく質は筋肥大に不利なのかというお話です。

たんぱく質というと肉を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、たんぱく質を含む食品は他にもたくさんあって、植物性の食品から摂ることもできます。

先日のメルマガでは、植物性たんぱく質を摂っている人は健康状態が良い傾向があると話しました。

病気にならないのは良いことですが、トレーニーにとって気がかりなのは筋トレ効果ですよね。

筋肉への影響という意味では、たんぱく質に含まれるアミノ酸がよく語られます。重要なアミノ酸が多く含まれていると「良質なたんぱく質」と呼ばれ、トレーニーに勧められます。

アミノ酸については、たしかに乳製品・肉・魚・卵などの動物性たんぱく質が優秀で、植物性たんぱく質は目立たない存在になりがちです。(たんぱく質の良し悪しについては、マクロファクターの記事で解説したことがあるので、もう少し詳しく知りたい人は読んでみてください。)

ただ、アミノ酸に注目する考え方は、筋トレ効果を推測しているに過ぎないというのが重要です。結果は実際にやってみるまで分からない部分が残るということです。

今日はそれを実際に調べた研究を紹介します。植物性たんぱく質では本当に筋トレ効果が下がってしまうのか直接調べたということです。

この研究では、一般的な肉も野菜も食べる人と、ビーガン食という植物性食品しか食べない人を対象として、12週間筋トレを行ってもらいました。

体組成の変化をいろんな方法で調べたところ、どちらの食事でも同じように筋量が伸びました

この研究では、たんぱく質の摂取量が体重1kgあたり1.6g以上と設定されました。ちなみに肉体改造のピラミッドでオススメしているのは1.6〜2.6gです。

ビーガン食はまったく動物性の食品を摂らないのが特徴で、さまざまなアミノ酸を十分に確保するという意味で不利になるのは間違いありません。

それでも、筋肥大効果に差がなかったので、体重1kgあたり1.6g以上という設定で必要なアミノ酸を確保できたと考えることができそうです。

実際には日本で厳格なビーガンを実践する人は少なく、ほとんどの人が動物性も植物性も組み合わせた食事を摂っているでしょう。

今回の研究ではビーガン食で筋肥大効果に悪影響が見られなかったので、普通の食生活の中で植物性たんぱく質の割合を増やすことにデメリットは少ないと考える材料になります。

肉が好きで食べている人が無理に制限する必要はありませんが、植物性たんぱく質を摂ると生活習慣病を避けやすいというメリットを期待できるので、健康のために筋トレを始めたという人には良い選択になりそうです。

筋トレ界隈の栄養情報はあくまでも筋肉のためのもので、健康に良いとは限りません。

真剣に筋トレに取り組む人ほど生活習慣が一貫していることが多いです。一貫して筋肉にも健康にも良い生活ができていれば最高ですが、知らないあいだに健康を害し続けてしまうこともあり得ます。

もし体を壊してから後悔することになると悲しいので、みなさんがご自身の食生活を考える材料になれば嬉しいです。

では、次回のメルマガをお楽しみに!

AthleteBody.jp

筋力トレーニングや食事管理について科学的根拠に基づく情報を発信をしています。メルマガでは、新しい記事の更新情報やAthleteBodyが提供するサービスに関するご案内をお届けします。

Read more from AthleteBody.jp

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日はハムストリングの鍛え方についてお話しします。 ハムストリングは股関節を伸ばす動作とヒザを曲げる動作で使われます。 そのため、ハムストリングを鍛える種目も大きく分けて2つのタイプに分けられます。 股関節を動かす種目デッドリフト、RDL、バックエクステンションなど ヒザを動かす種目マシンレッグカール、ノルディックカールなど ハムストリングは4つの部位で構成されていて、「大腿二頭筋の長頭・短頭、半膜様筋、半腱様筋」に分かれます。 この中で、大腿二頭筋の短頭はヒザの動作でのみ働く小さな筋肉です。その他の部位は股関節とヒザ両方の動作に関わっていて、ハムストリングの大部分を占めています。 つまり、理屈上はどちらの関節を動かしてもハムストリングの大部分に負荷をかけられることになります。 では、種目によって効果に違いはないのかという疑問が出てくるわけですが、細かな違いを調べる研究が進められています。...

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日のテーマは「筋トレができないときのたんぱく質の摂り方」です。 筋トレを長く続けていると、怪我や体調、仕事の都合などでトレーニングができない時期が出てくるものです。 こういうときに筋肉を維持するために、たんぱく質をたくさん摂ろうと意識する人もいるかと思います。 たんぱく質は筋トレ効果を高めてくれますが、筋トレができないときにもたんぱく質が有効なのかは別の話です。 今回はこのことを調べた研究を紹介します。 まず、被験者の片方のヒザを固定し、松葉杖で生活してもらいました。固定したヒザは地面に着けず、まったく負荷がかからない状態です。こんな装具が使われました。 △ ちょっとカッコよくないですか...? そして、たんぱく質の影響を調べるため、多めに摂る人と少なめに抑える人に分けて、脚の筋量の変化を測定しました。 この条件で3日間生活すると、以下のように変化が現れました。 △ たった3日でこの違い...

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日のテーマは「関節を動かさないトレーニング」です。 △ 動かさないトレーニング 筋トレでは通常、関節を曲げ伸ばししながら筋肉に負荷をかけます。そして、筋肥大を目的にする場合、関節をできるだけ大きく動かした方が効果が大きくなることが多いです。 だからこそ、深くしゃがみ込むフルスクワットなどが勧められるわけですが、関節をまったく動かさずに静止するタイプのトレーニングも存在します。筋トレ用語では「アイソメトリック」と呼びます。 例えば、プランクや空気イスが関節を動かさないトレーニングにあたります。筋肥大を目的にする場合にはあまり人気がありませんが、だからと言って効果がないとは限りません。 このことを調べた研究では、レッグエクステンションを使って比較が行われました。 片方の脚はヒザを動かせない状態で強い力を出すだけのトレーニングを行い、もう一方の脚は負荷をかけてヒザを90度曲げ伸ばししました。 12週間のトレーニングで、結果は以下のようになりました。 △...