筋トレ科学:コンテスト前の水抜きは裏目に出る


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今日は「水抜き」に関するお話です。

ボディビルなどの競技では、コンテスト前に水分を制限する人が多くいます。水分を抜くことで身体が締まって見えることを狙ったものです。

肉体改造のピラミッドでは、水分を制限すると筋肉がパンプしにくくなる可能性があるので注意しましょうと説明しました。ひと言で噛み砕くと、筋肉は大部分が水なので水分が不足すると筋肉がしぼんでしまうということです。

2025年の研究で、実際にこの考え方を裏付けるデータが報告されたので紹介します。

この研究では、軽い脱水状態になるまで水分を制限してトレーニングを行い、筋肉への影響を調べました。

そして、十分に水分を摂れている場合と比べたところ、脚の筋肉の厚みに違いが確認されました。

このグラフでは、水分を制限した場合はトレーニング前から筋肉が薄くなっており、トレーニングのあとも水分の影響が残り続けたことが分かります。

身体をギリギリまで仕上げたときのカットや質感は、筋肉が内側から皮膚を押し出すことで生まれます。

このとき筋肉と皮膚のあいだに体脂肪の層が分厚く残っていないことが重要なのですが、水分を抜くと筋肉がしぼんでしまって皮膚を押し出すことができなくなるわけです。

では、十分に水分が摂れているかどう判断するかという疑問が出てきますよね。日常生活の中では、飲んだ量よりも尿の色を見るのがオススメです。

尿の色が濃いと感じたら、喉が渇いていなくても水分を補給しましょう。夏は特に汗で水分が奪われやすいので、体調のためにも、納得のコンディションづくりのためにも補給を心がけてください。

今年のコンテストに向けて水抜きを考えていた選手の参考にしてもらえれば嬉しいです。

では、次回のメルマガをお楽しみに!

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