筋トレ科学:高たんぱく食はカラダに悪い?


こんにちは、AthleteBodyの八百です!

毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。

今日はたんぱく質をたくさん摂ると健康リスクがあるかという話です。実は体に悪いのではないかと心配になる人もいますよね。

肉体改造のピラミッド / 栄養編では体重1kgあたり、たんぱく質1.6〜2.6gをオススメしました。結論から言うと、健康な人がこの程度の量を摂るのはメリットの方が大きく、目立ったリスクはありません。

健康リスクと言うと非常に多くの要素が絡むので、網羅しようとすると大変な情報量になってしまいます。今日はギュッと凝縮してご紹介します。

骨を強く保つ

たんぱく質を摂ると骨を強く保つことにつながります。わたし達の骨は放っておくと加齢とともに弱っていきます。骨粗しょう症という病気では、骨がスカスカになって折れやすくなってしまうと聞いたことのある人も多いでしょう。

2018年の論文で骨粗しょう症の専門家が過去の研究データをまとめた結果、たんぱく質を多めに摂ると、骨がもろくなったり骨折したりするリスクを下げられると報告されています。(カルシウムが十分摂れていることも条件として含まれるようです。)

言い換えると、健康リスクを心配してたんぱく質を控えると、かえって骨に良くない可能性があるということです。骨粗しょう症は女性に多く、加齢とともに進行するので、若いうちからたんぱく質を意識して摂るのが良いかもしれません。

腎臓とたんぱく質

たんぱく質を摂り過ぎると腎臓を壊すと言われることがあります。

たんぱく質を多く摂ると、尿から排泄する代謝物が増えます。この排泄に腎臓が関わっているので、たんぱく質を多く摂ると腎臓への負担が高まり、腎臓の機能を損なうと言われるのですが、健康な人には当てはまりません。

直近では2024年の論文で過去の研究をまとめて分析したところ、たんぱく質の摂取量の多い人の方が腎臓病を発症するリスクが低かったと報告されています。

他には2021年の論文で、たんぱく質は腎臓病のリスクを下げ、脂質はリスクを上げたと報告されています。

つまり、腎臓病を避けるためには、たんぱく質を積極的に摂った方が良い可能性があるくらいで、控えなければいけないと考える材料は乏しいと言えます。

隠れた腎臓病に注意

すでに腎臓病を持っている人は、たんぱく質を制限することが勧められます。これは実際に、腎臓病の進行を和らげられる可能性があるようです。腎臓病で通院されている方はすでにご存じのことでしょう。

そうでない人は、ご自身の腎臓が健康な状態か分かるでしょうか?

腎臓病は進行するまで症状がなく、早い段階で気付けない人が多くいる病気です。簡単な血液検査や尿検査で発見できるケースが多いので、ぜひ健康診断の結果を意識して見てみてください。たんぱく質の摂り方を考えるのに大切なポイントになります。

たんぱく質は健康寿命を伸ばす

健康を保つには全身が元気でなければいけません。腎臓を守れても骨が折れてはいけませんし、他の病気も避けなければいけません。心の状態も大切です。

こういった健康全般とたんぱく質に関係があるかを調べた研究があり、たんぱく質を積極的に摂っている人の方が健康を保てていると報告されました。

がん、心臓病、腎臓病、糖尿病などの生活習慣病がなく、身体機能や記憶力にも問題がなく、精神疾患もないという人は、特に植物性たんぱく質を摂っている傾向があったということです。...豆ですかね。

トレーニーにとってたんぱく質の摂り方は大事なテーマです。「今日はギュッと凝縮」と言いつつちょっと長くなってしまいました。みなさんの食生活を考える参考になれば嬉しい限りです。

ぜひ健康診断を受けて、好みのたんぱく質をたらふく楽しまれてください。

では、次回のメルマガをお楽しみに!

AthleteBody.jp

筋力トレーニングや食事管理について科学的根拠に基づく情報を発信をしています。メルマガでは、新しい記事の更新情報やAthleteBodyが提供するサービスに関するご案内をお届けします。

Read more from AthleteBody.jp

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日のテーマは「関節を動かさないトレーニング」です。 △ 動かさないトレーニング 筋トレでは通常、関節を曲げ伸ばししながら筋肉に負荷をかけます。そして、筋肥大を目的にする場合、関節をできるだけ大きく動かした方が効果が大きくなることが多いです。 だからこそ、深くしゃがみ込むフルスクワットなどが勧められるわけですが、関節をまったく動かさずに静止するタイプのトレーニングも存在します。筋トレ用語では「アイソメトリック」と呼びます。 例えば、プランクや空気イスが関節を動かさないトレーニングにあたります。筋肥大を目的にする場合にはあまり人気がありませんが、だからと言って効果がないとは限りません。 このことを調べた研究では、レッグエクステンションを使って比較が行われました。 片方の脚はヒザを動かせない状態で強い力を出すだけのトレーニングを行い、もう一方の脚は負荷をかけてヒザを90度曲げ伸ばししました。 12週間のトレーニングで、結果は以下のようになりました。 △...

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日は減量後の食事管理についてお話します。 最近のボディビル道場セミナーでこのテーマを取り上げました。そして、それに関連して、Xでアンケートを行いました。 △ 減量後の過ごし方は人による コンテスト選手に限らず、減量でしっかり体脂肪を落としたあとは、できるだけ体形を維持したいと思うのは自然なことでしょう。ただ、人によっては厳しい食事制限から解放されて自由に過ごしたい気持ちになるのも理解できます。 このあたりは各個人の気持ちの部分が大きいですが、客観的に見たときにベストな選択はあるのでしょうか。 AthleteBody的にオススメしたいのは、体脂肪をほどほどに戻すスタイルです。 肉体改造のピラミッドでは、ギリギリまで絞ったあとは1〜2ヶ月で体重を5〜10%ほど戻すくらいをオススメしました。ガチガチである必要はないですが、迷ったらこの数字を目安にしてください。(本をお持ちの方はP.205をご参照ください。)...

こんにちは、AthleteBodyの八百です! 毎週金曜日、フィットネス関連の情報をお送りしています。ぜひお付き合いください。 今日のテーマは「筋肥大しにくい体質とトレーニング量の関係」です。 △ 筋肥大には才能が関わる 筋肉を付けたいと思って筋トレを頑張っているけど、なかなか身体が変わらないと感じている人はいるでしょうか。 身体の変化をどう感じるかは主観的なもので人それぞれですが、筋肥大には生まれ持った体質が影響します。人によって才能の差があるということです。 このことは科学的にも示されています。 例えば、上腕二頭筋のトレーニングを行った研究では、筋量の伸びに大きな個人差が確認されました。 △ まったく同じトレーニングを行った結果 12週間のトレーニングで、上腕二頭筋の断面積が59.3%大きくなった人もいれば、少し小さくなってしまった人もいました。 トレーニングの内容は同じなのに、どんどん成果が出る人と、ほとんど変化が出ない人がいたわけです。 このデータを見ると「目に見える結果が出ていない人は、それが努力不足とは限らない」とよく分かります。...